myfansやFantia、CandFansなどのファンクラブサイトで有料のアダルトコンテンツを販売している方、これから始めようとしている方に、まず結論からお伝えします。インターネットを通じて性的な映像を有償で配信する行為は、風営法上の「映像送信型性風俗特殊営業」に該当し、警察への届出が必要になる可能性があります。これは配信事業を営む会社だけの話ではありません。自宅で活動する個人クリエイターにも適用される制度です。
「届出なんて聞いたことがない」「周りのクリエイターは誰もやっていない」という声が多いのが実情です。実際、この制度の存在を知らないまま販売を始めているクリエイターは相当数いると見られます。しかし、知らなかったでは済まないのが法律です。無届で営業した場合には刑事罰の対象になり得ますし、収益が伸びて活動が目立つようになってから慌てても手遅れになりかねません。
この記事では、myfansをはじめとするプラットフォームでアダルトコンテンツを販売する場合に、どういう条件で届出が必要になるのか、届出先や提出時期、必要書類、無届営業のリスク、そして行政書士に依頼する場合のポイントまでを整理して解説します。
■映像送信型性風俗特殊営業とは?風営法上の定義
映像送信型性風俗特殊営業は、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第2条第8項に定められた営業形態です。条文では次のように定義されています。
「専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むもの」
法律特有の難解な言い回しですが、かみ砕くと「インターネットを使って、性的な映像をお金を取って見せる商売」のことです。myfansでの有料投稿やサブスクプランの販売、ライブチャットでのアダルト配信、アダルト動画のオンデマンド配信サービスは、いずれもこの形態に当てはまり得ます。
判断の軸になるのが「専ら」という言葉です。実務上は、扱うコンテンツのおおむね7〜8割程度が性的な映像である場合に「専ら」と判断される傾向があり、その判断は売上構成などの実態に基づいて行われます。つまり、アカウントの中心がアダルトコンテンツの販売であれば、届出の検討が必要になるということです。
■無店舗型性風俗特殊営業第2号(アダルトグッズ等の通信販売)との違い
似た名前の営業形態に「無店舗型性風俗特殊営業第2号(アダルトグッズ等の通信販売)」があります。混同されやすいのですが、両者の違いはシンプルです。
映像送信型は、映像データそのものをインターネット経由で客に送る業態です。一方、無店舗型性風俗特殊営業第2号(アダルトグッズ等の通信販売)は、DVDやBlu-rayといった記録媒体、つまり「モノ」を販売・貸付けして配達する業態を指します。映像を直接送るのか、映像を収めた物を渡すのかという点で区別されます。
myfansやFantiaでのデジタルコンテンツ販売は前者、つまり映像送信型に該当し得る行為です。なお、配信を本業としつつファン向けにDVDなどの物品を制作して販売する場合には、別途無店舗型の届出が必要になるケースもあるため、事業を広げる際には注意してください。
■myfansで届出が必要になるケース
具体的にどのような活動が該当し得るのか、myfansでの典型的なパターンを挙げます。
性行為や裸体を含む動画・画像を有料で単品販売している場合。月額サブスクリプションプランで性的なコンテンツを継続提供している場合。チップ機能やメッセージ機能を通じて性的な映像を有償で送っている場合。これらはいずれも「電気通信設備を用いて性的な映像を有償で伝達する」行為であり、届出の検討対象になります。
見落とされがちなのが、届出はアカウント単位で必要になるという点です。運営者1人につき1回の届出で済むのではなく、開設したアカウント(販売チャンネル)ごとに個別の届出が求められます。myfansとFantiaの両方でアカウントを持っている場合や、コンセプト別に複数アカウントを運用している場合は、それぞれについて届出を検討する必要があります。
■届出が不要と考えられるケースとグレーゾーン
一方で、次のような場合は届出の対象外と考えられます。
性的な要素のないコンテンツのみを販売している場合。水着やグラビア程度の露出にとどまり、性的な行為や裸体の映像を扱っていない場合。無償で公開しているだけで対価を得ていない場合。
ただし、「どこからが性的な映像に当たるのか」「グラビアと裸体の境界はどこか」という線引きは、コンテンツの内容や販売実態を踏まえた個別判断が必要な領域です。露出を抑えているつもりでも、シチュエーションや演出によって判断が変わる可能性はあります。
また、AI生成画像のみを扱う場合の取り扱いや、顔出しの有無、実写と創作物の違いといった近年の活動形態については、法解釈が固まりきっていない部分もあります。自分の活動が該当するかどうか迷ったら、自己判断で走らず、風営法に詳しい行政書士など専門家に確認することを強くおすすめします。
■個人クリエイターでも届出は必要?
必要です。届出制度は法人・個人を問わず適用されます。「会社を作っていないから関係ない」「副業だから対象外」ということはなく、個人が自宅を拠点に活動する場合でも、要件に該当すれば届出義務が生じます。
むしろ個人クリエイターの場合、後述する「事務所」の要件が実務上の最大のハードルになりやすいため、販売を本格化させる前の早い段階から準備を始めることが重要です。
■届出先と提出時期
届出先は、営業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会です。実務上は、管轄警察署の生活安全課の窓口に届出書類を提出します。
提出時期は、営業を開始しようとする日の10日前までと定められています。これから始める方は、販売開始日から逆算してスケジュールを組んでください。すでに販売を始めてしまっている場合の扱いは状況によって異なるため、専門家に相談したうえで速やかに手続きを進めるのが現実的です。
届出手数料は全国均一で、1件につき3,400円です。届出はアカウントごとに必要になるため、例えば5アカウント分を届け出る場合は3,400円×5件で17,000円かかります。届出が受理されると「届出確認書」が交付されます。この確認書は事務所への備え付けが義務付けられているほか、広告宣伝や求人活動の際に提示することも求められます。
■届出に必要な書類
個人で届出をする場合の基本的な書類は次のとおりです。営業開始届出書(様式第31号)、営業の方法を記載した書類(様式第32号)、住民票の写し、そして事務所として使用する場所の使用権原を疎明する書類です。届出書には氏名・住所のほか、販売チャンネル名やアカウント名、配信に用いるURLなどを記載します。法人の場合は、これらに加えて定款や登記事項証明書が必要になります。
様式32号の「営業の方法」では、18歳未満を客としないための具体的な措置を記載する必要があります。利用するプラットフォームの年齢確認の仕組みなどを踏まえて記載するため、myfansなど各サービスの利用規約や認証フローを把握しておくとスムーズです。
■最大の難関は「事務所」の要件
実務上、最もつまずきやすいのが事務所の使用権原疎明書類です。
映像送信型性風俗特殊営業の届出では、営業の本拠となる「事務所」の場所を届け出る必要があり、その場所を映像送信型性風俗特殊営業に使用することについての権原を証明する書類が求められます。持ち家であれば比較的シンプルですが、賃貸物件の場合、貸主の使用承諾が必要になるケースがあります。
ここで問題になるのが、住居用の賃貸契約です。契約上の用途が「居住専用」となっている物件が大半で、アダルト配信事業への使用承諾を大家さんに求めても、承諾が得られないことは珍しくありません。実際、この使用承諾の壁で届出手続きが止まってしまうクリエイターは多く、事務所をどこに置くかは届出全体の中で最初に検討すべき事項といえます。
行政書士事務所によっては、使用承諾の取得が見込める物件の紹介まで対応しているところもあります。本記事の監修者である高村直行政書士の事務所(ごたんだ行政書士事務所)も、使用承諾の取れる物件の紹介を行っています。賃貸住まいで届出を諦めかけている方は、手続きの相談とあわせて物件の相談をしてみる価値があります。
■届出後にも義務がある:URL変更時の出し直しと遵守事項
届出は出して終わりではありません。まず押さえておきたいのは、この届出がHPごと(プラットフォームを利用している場合はアカウントごと)に行うものであり、URLの変更はできないという点です。アカウント名の変更などでURLが変わった場合は、変更届で済ませることはできず、新しいURLで届出を出し直したうえで、旧URLについては廃止届を提出します。新しいプラットフォームで販売を始める場合も、そのアカウントについて新規の届出が必要です。また、住所など届出事項に変更が生じた場合には変更届を提出します。
営業開始後には広告宣伝に関する規制など、風営法および各都道府県の条例に基づく遵守事項・禁止事項が適用されます。届出をして適法な状態を作ったうえで、継続的にルールを守って運営していくことが、長く安定して稼ぎ続けるための土台になります。
■無届で営業した場合の罰則とリスク
映像送信型性風俗特殊営業に該当するにもかかわらず、届出をせずに営業した場合、風営法第52条により6ヶ月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、又はその両方が科される可能性があります。
「バレなければ大丈夫」と考える方もいるかもしれません。しかし、有償でコンテンツを販売している以上、プラットフォーム上には活動の記録が残り続けます。収益が大きくなれば確定申告などの税務面でも活動実態は明らかになりますし、身バレやトラブルをきっかけに活動が表面化することもあります。刑事罰のリスクを抱えたまま収益を積み上げるのは、稼げば稼ぐほど失うものが大きくなる構造です。
収益化が軌道に乗ってから慌てるのではなく、活動の初期段階で適法な状態を整えておく。それが結果的に、安心してコンテンツ制作に集中できる環境を作ります。
■届出は自分でできる?行政書士に依頼するメリット
届出自体は、書類を揃えれば自分で行うことも可能です。ただし、実際にやってみると、様式31号・32号の記載、18歳未満対策の記述、使用権原疎明書類の収集、警察署とのやり取りなど、細かい実務が積み重なります。都道府県によって運用が異なる部分もあり、書類の不備で何度も警察署に足を運ぶことになるケースも少なくありません。
風営法を専門とする行政書士に依頼すれば、そもそも自分の活動が届出の対象になるのかという入口の判断から、書類作成、警察署への提出までを一括で任せられます。特に、コンテンツ内容のグレーゾーン判断や事務所要件の突破は、経験豊富な専門家の知見が効く領域です。本業であるコンテンツ制作に時間を使いたいクリエイターにとって、手続きの外注は十分に合理的な選択です。
■よくある質問
Q. 顔出しをしていなければ届出は不要ですか?
A. 顔出しの有無は届出の要否を直接左右するものではありません。判断の中心は「性的な映像を有償で伝達しているか」であり、顔を隠していても性的なコンテンツを販売していれば届出の検討が必要です。
Q. 副業レベルの小さな収益でも届出が必要ですか?
A. 収益の大小による免除規定はありません。有償で性的な映像を提供する営業に該当すれば、規模にかかわらず届出の対象になり得ます。
Q. myfansとFantiaの両方で販売しています。届出は1回で済みますか?
A. 届出はHPごと(プラットフォームを利用している場合はアカウントごと)に必要です。複数のプラットフォームや複数アカウントで販売している場合は、それぞれについて届出を検討してください。手数料は1件につき3,400円です。
Q. 賃貸マンション住まいですが、自宅を事務所として届出できますか?
A. 賃貸物件の場合、貸主の使用承諾など使用権原を疎明する書類が必要になることがあり、ここが最大のハードルです。承諾が得られない場合の選択肢も含めて、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
Q. すでに無届で販売を始めてしまっています。どうすればいいですか?
A. そのまま放置するのが最もリスクの高い選択です。速やかに専門家に相談し、届出手続きを進めることをおすすめします。個別の状況に応じた対応が必要になるため、自己判断で動く前に一度相談してください。
■監修者プロフィール
高村直(たかむら なお)
ごたんだ行政書士事務所 代表。夜のまち専門行政書士®。株式会社ザ・ベストサービス代表取締役。
大学卒業後まもなく起業し、長年にわたり夜のまちのビジネスに携わる。多摩大学大学院にてMBAを取得し、「歓楽街を持つ地域の安心なまちづくりモデルの創出」で優秀論文賞を受賞。2020年度行政書士試験に合格。2021年3月、東京・五反田に「ごたんだ行政書士事務所」を開業。東京都行政書士会品川支部理事。
性風俗関連特殊営業の届出を専門とし、映像送信型性風俗特殊営業(アダルト動画配信事業)の届出では全国約1,000件近くの実績を持つ。使用承諾の取得が見込める物件の紹介にも対応。初回相談は無料。
ごたんだ行政書士事務所 https://the-best.jp/
映像送信型性風俗特殊営業の届出サポート https://the-best.jp/lp/
この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的な判断が必要な場合は、行政書士等の専門家にご相談ください。





